未来への提言 「犯罪学者 ニルス・クリスティ 〜囚人にやさしい国からの報告〜」一部文字起こし Part.2

ノルウェーで行なわれている「対立調査委員会」*1が紹介され、軽犯罪者についてどう向き合えばいいのかということが話し合われました。


(森)

話し合うこと、理解すること、どんな人かをお互いに気付く事、それが大事だと言うことですか?


(クリスティ)

そうです。私が皆さんに薦めたいのは、被害者と加害者、そして市民が裁判以外の場で直接会う事なんです。だからこそ、対立調停委員会が重要なのです。これは、修復的司法と呼ばれる伝統的な方法です。昔ながらの暮らしを守っている少数民族やカナダ等の先住民族の中にも同様のメカニズムがあります。こうしたやり方は、かつて日本にもあったものだと思います。


(森)

市民一人一人が犯罪を減らすためには何をすべきですか?


(クリスティ)

私達は、すぐ隣にいる人のことを気にしなくてはなりません。まず、近所のコミュニティの中で、自分たちの問題は自分たちで解決できるようにしなければなりません。地域での対立や事件は、自分たちがそれを解決する力を身に付ける大きなチャンスであり、財産なのです。

そして、もう一つは、市民一人一人に関わる重要な決定は中央集権化を避けるべきだという事です。権力者は、地域に任せると間違ったコントロールをするだろうと思うかもしれません。しかし、間違ってもいいんです。そのような挑戦を続け、失敗からも学ぶ事で私達は力をつけていくべきなんです。地元レベルで民主主義を守っていくことで犯罪は減っていくと信じています。

*1:ノルウェーで8年前から始まった。加害者と被害者を対面させ、調停を行なうよう各市町村に義務付けたもの。軽い犯罪は法で裁くのではなく、地域社会で独自に解決しようという取り組み。調停員は一般市民。対立感情を解消する事が目的。合意に至れば、法で裁かれる事は無い。全体の90%がこの場で解決する。