会見ウォッチ 6月18日 千葉景子法務大臣会見 「取調べ可視化」勉強会中間報告、今後の予定について

http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00044.html

被疑者取調べの録音・録画による可視化については,これを実現するとの方針の下で,省内に政務三役を中心とする勉強会と,その下に加藤法務副大臣を座長とするワーキンググループとを設けてこの間議論をしてきました。これまで,勉強会を5回,ワーキンググループを20回開催するなど,幅広い観点から精力的に議論・検討を重ねてきたところです。その結果,当面の主な論点に関する議論が一定程度進み,調査を行うべき事項についても明らかになってきたことから,この度,中間的な取りまとめを行うことにしました。中間的な取りまとめの調査計画に沿って,約1年間をかけて国内外における多角的な調査を実施し,議論をさらに深める材料にしたいと思います。また,今後,次のような検討方針に沿って,議論・検討を進めていきたいと思います。すなわち,まず,一つには,実務に即した現実的な形で取調べの可視化を実現するため,その対象とする事件や範囲について検討を行うこととします。また,2番目に録音・録画が捜査・公判の機能や被害者を始めとする事件関係者に与える影響及び録音・録画の有用性についても,さらに調査・検討の上,その具体的な在り方についての検討を進めていきます。そして,3番目に平成23年6月以降のできる限り早い時期に,省内勉強会としての検討の成果について取りまとめを行いたいと考えています。このように,更なる調査・検討等が必要ではありますが,今回の中間的な取りまとめにより,政府として責任をもって,可視化の実現のための歩みを,中間的ではありますけれども,これまで取りまとめてきたということですので,皆様に御理解いただけるのではないかと思います。今後も,今回の中間的な取りまとめの内容を踏まえて,可視化の実現に向けて精力的に調査・検討を進めていきたいと思っています。また,かねてから申し上げていますように,近いうちに中井国家公安委員長とも協議をさせていただき,両者いろいろな問題点を共有をしながら,是非可視化の実現のとりまとめの方向に向けて進めていきたいと考えているところです。

【取調べの可視化に関する質疑】

Q:可視化の中間取りまとめですけれど,全事件,それから全過程についての可視化というところがちょっとトーンダウンしている印象なのですが,この点について大臣はどういうお考えをお持ちですか。

A:これは,トーンダウンしているということではありません。全過程を録画・録音するという考え方,そこをスタートにして議論を進めているところでして,その議論の過程でいろいろな御意見や,膨大な数の事件を全部可視化することが本当に可能なのかという,いろいろな問題,指摘もあり,そういうことも併せて,さらに検討を進めていく,そして,そのために今の捜査の実情であるとか,あるいは,国際的な,各国の状況なども,改めて精査をさせていただこうということですので,トーンダウンしたとかしないとかそういうことではありません。

Q:取調べの可視化の件で,昨日,全面可視化を求める議員連盟の方がお見えになって,まず裁判員裁判対象事件から段階的に進めてはどうかという提案があったと聞いているところなのですが,そういった考え方についてどのようにお考えですか。

A:これまでも議員の皆さんと,そして私たちも志を一つにしながら,それぞれの取組を続けてきたところです。改めて新しい考え方というか,知恵をいただいたというふうに思いますし,貴重な御提案ということだというふうに思いますので,そういうことも一つのお知恵として私どもも十分頭に置きながら,またより一層,連携を図りながら,最終的な目標に向かって取組を続けていきたいと思っています。

Q:昨日民主党が発表した参議院選挙のマニフェストの件ですけれど,その中で可視化についての記載がなくなっているのですが,民主党から政権公約会議にあがる段階では,2012年末の成立又は全面可視化の文言があったと聞いていますが,会議でなくなった理由についてお聞かせいただきたいのですが。

A:これは私がその会議で直接検討させていただいたということではありませんので,分かりませんけれども,私が承知をしているところでは,今回マニフェストに新しく加えたり,あるいはまた少し修正をするという形で盛り込んだもの以外の様々な政策課題につきましては,これまでのマニフェストがそのまま,4年間の約束ということで,消えたわけではなく,それを継続をして進めていくということには変わりないのだというふうに聞いていますし,認識をしています。

Q:可視化の中井大臣との協議を,近いうちにというふうにおっしゃいましたが,これは参議院選挙の前にですか,それとも後にということになりますか。

A:そこは,これから調整しなければいけませんが,なかなか選挙前というのは日程,時間的に難しいかなと思っています。中井大臣とは7月内にはスタートしましょうねと,そういうことは常々,この間も言ってきましたので,そこは時間的な調整を図ってやっていきたいと思います。

Q:今回の可視化の中間報告の内容の理解として,全面的に録音・録画するかどうかという範囲についても,今後の検討課題というふうに受け止めてよろしいのでしょうか。

A:今回は何しろ,問題点を整理をしたということです。全面的に,全事件を対象とすると,それは大変だなという意見もあり,そこももう一度検証していこうと,こういうことですので,全件可視化ということを別に否定しているということではありません。現実的には非常にそこまで一気にやるというのはいろいろ問題,困難はあるのかなという議論も出ているということです。

Q:言葉が似ていて分かりにくいのですけれども,まず,全事件を対象にするのかどうかという話と,それから全過程を対象にするのかという話があると思うのですけれども,今回の中間報告では,全事件についてはなかなか一気には難しいかなという内容になっていると思うのですが,全過程かどうかということについても,範囲について検討対象とするというふうな内容になっていると思うのですが,それはそういう理解でよろしいのでしょうか。

A:これも,同じことでございまして,全過程ということを基本に私どもも考えているわけで,それについて,やはり全過程,全部それを再生することになるのかという話とか,いろいろ具体的な運用面での御議論があることですので,そういう論点があるなと,こういう整理だと受け止めていただければと思います。

Q:昨年9月の大臣就任会見の時には,基本的には全事件で全過程であると,聞く耳を持たないわけではないけれども基本はそれでいくんだとおっしゃっていたと思うのですが,その発言からしてみると先ほどトーンダウンしているわけではないとおっしゃいましたが,決してトーンダウンしているわけではないというところをもう少し詳しく説明していただかないと,なかなか分かりにくいかなというふうに思いますが。

A:要するに基本的な可視化というのは,全事件,それから全過程やるというのが一番わかりやすいし,そしてそれによって捜査の透明化が最大限高まるということは,私は今でも変わらないと思います。ただ,実務的にとか,あるいはできるだけ早く実現をしていくということになった時に,いろいろな課題を解決しなければなりません。そういう意味でこういう論点があるので,より十分にどこまで本当にできるのか,全部実施できるのか,こういうことなどをこれから1年間調査をしながら詰めていきたいということですので,トーンダウンとかそういうことではないと考えています。