「口蹄疫による非常事態宣言から1週間、何が見えてきたのか!」 TBSラジオ「dig」 一部テキスト化
一昨日放送のTBSラジオ「dig」で口蹄疫が取り上げられました。その中より、東京大学総合研究博物館教授・遠藤秀紀さんの話の一部をテキスト化しました。
http://www.tbsradio.jp/dig/2010/05/post-97.html
- 口蹄疫対策は今のままで良いのか?
(遠藤)
このウイルスは100年以上前に発見されて、殺処分するしかないということに決まって、技術的にその水準でずっと来ています。この時代でも徹底的に殺処分で鎮める以外に無いわけですね。国によってはワクチンを重視するところもありますけど、今の時代は人・物流の動きが速すぎて、口蹄疫みたいなものが国境を跨ぐ可能性が高くなっているわけです。ですから、大前提として僕らは国境を跨いで口蹄疫と共存している人類だという風に考えるべきですね。
まず考えなければいけないのは、たまに入ってくるから殺処分すれば終わるという考え方でやっていたら、今より劇的にたくさん入ってきた時に片っ端から殺していたら、直ぐに何十万頭という数になります。そういったことを考えていった時に、これからは必ず入ってくることを前提にして、そろそろワクチンの世代を変えて、もっと効果的なワクチンを作って、病原体のまん延とワクチンの接種が区別できるようなマーカーの付いたワクチンを使ったりするような技術的な変革を持ち込まないといけないと思います。21世紀の国際交流に合わせた考え方というのを社会全体で考える必要があります。
(神保)
ということは、ワクチンの本来の使い方、つまり事前に接種することも考えるということですか?
(遠藤)
接種の仕方の工夫はもちろんありますが、いま作られているワクチンでは技術的に対応に限界があります。革新的なものを取り入れないと口蹄疫対して新しい対応を取ることは出来ません。
(竹内)
それはもう研究されてるんですか?
(遠藤)
最近でこそ研究が進んでるんですけれども、暫く沈滞しておりました。20世紀前半から殺処分しかないよねと納得していた時期が長いんですよね。新しい方法を持ち込まないとやっていけない時代が来ています。
- 種牛の処分について
(遠藤)
殺処分しないことは有り得ません。議論の余地はないです。政治的に色んなことを言う人がいるかもしれませんが、現在のところ種牛であろうが殺処分する以外にこの病気を抑える方法はありません。