「口蹄疫は国際標準の対策が効果をあげない異例の事態」 ゲスト:東京大学大学院農学生命科学研究科・明石博臣教授 マル激Nコメ一部テキスト化
マル激のNコメに、1例目の発生農家の調査に行った、東京大学大学院農学生命科学研究科・明石博臣教授が出演。内容を一部テキスト化しました。
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/001438.php
- 現状について
口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針に従ってやっているのだけれども、不幸な事になかなか感染を止められることが出来ないというのが今の現状です。
- 感染ルート
どこから入ってきたのか、何がウイルスを運んでいるのか全く確証がない段階です。常識的に考えれば、人や車によって運ばれていることになりますが、どこでくっついたのかが全く分からないですね。
- 今までの対応について
防疫指針というのは、国際的にこれがベストだという対策が書いてあって、それに従って防疫作業を続けてきたんですが、何故ここまで広がったのか理由が分からない。
(神保)
何政権であろうが、手順に乗っ取って、取られるべき対策が行なわれるわけですね。しかし、手順以上、手順とは違った政治的決断による対策が必要だった、危機管理が欠如しているという議論がありますが、先生はそれについてはどう思いますか?
(明石)
指針以上に有効な対策があるなら、ここまで口蹄疫が国際的に広がっていませんよね。今回のケースにおいて、こうすればよかったということはきっとあるんでしょうが、それは終わってから検証される事です。
(神保)
そんなことが事前に分かっていれば苦労しないという事ですね。
政府に対して、決められていることをちゃんとやってなかったら批判に値するとしても、それ以上のことをしなかったからという批判というのは、明石さんの目からすれば批判の為の批判的なところがあるんですか。
(明石)
そう思いますね。振り返って批判する事はとても簡単で、上手くいなかった事を批判しようと思えばいくらでもできるけれども、誰がどうすべきだったかと言い出すと、それが分かっていればやっているよということになりますね。
- ワクチン接種について
指針でも広がりが止められない場合が想定されていて、その場合ワクチンを打って止めるという事が書かれているわけですが、広がりが止まらないというのを何時の時点で判断するかというのは科学者が出来る事ではなくて、高度に政治的な判断です。今回、政府はそう判断したんですね。どうしたら一番いいのかというのは、その運用については科学者がコミットするわけですが、それを決めるのは政府です。ですから、ワクチン接種というのは科学的根拠に基づいた選択ではなくて、行政的な根拠に基づいた選択です。