「控除」から「手当」その効果は? WBS文字起こし

http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/news/n1_9.html

Q:そもそも、なぜ控除という減税方法があったのか?

中央大学法科大学院・森信茂樹教授)

所得税は)あらゆる所得を足して、そこに累進税率を課していく。それによって、公平性を確保する仕組となっています。

(所得控除は)所得そのものを、広げたり縮めたりして、包括的所得税という形で税負担を調整していたと。


ナレ:しかし、所得控除による減税の恩恵は、高所得者層に偏る傾向があり、格差や貧困問題が深刻になる中で、先進国では見直しの動きが強まった。結果として、先進国は控除を廃止して、税額控除や手当にシフトさせ、中低所得者に恩恵を及ぼすような措置を取った。世界的な流れに沿った、今回の改正について森信教授は、税制の考え方を変えたという意味で、評価している。


(森信)

所得控除が手当に替わる最大の効果は、所得再分配機能が高まるという事。中低所得者層に、相当の金額が渡る事になりますから、これは消費に繋がっていくのは間違いないと思います。

  • 中島厚志氏の話

控除制度がどういう風に出来たかを見ると、インフレの時代に、税率が同じままだとどんどん累進課税で税収が大きく取られてしまうので、その分を軽減しようということで、控除を入れた。あるいは、1989年に消費税が出来た時に、見返りとして控除で減税をしようとか、それぞれ部分的に減税をする手当てとして使われてきたんですね。

確かに、その時その時には意味があったんですけど、税が対象とする所得は10品目あるので、それぞれに控除がついて複雑になっているし、しかもその後っていうのは、高齢化が進んだり、世帯の構成人数が替わったり、女性の社会進出が進んでいますから、控除の意味合いが変わってきた。果たして、格差が広がっている中で、上手く再分配できているかというと、そうならなくなってきた。それだったら、もっとストレートに手当でやってしまおうということ。

また、控除の仕方も、給付付き税額控除という形で、払ってる人には減税、所得が低くて払えないような人には逆に手当をするということを一緒に行なう。簡素化して、その上で手当という形で上手く所得再分配が補えるようにするというやり方は、今の時代の流れからいえば、合理的ですね。