M2のサブカル批評 2008 Part.4

TBSラジオ「アクセス」で放送された宮崎哲弥宮台真司、両氏によるサブカル談議の文字起こし。Part.4は出版業界についてです。


宮崎:出版は率直に言って、かなりどうにもならないところまできている。特に雑誌。そもそも売れなくなってきてる。広告が入らなくなってきている。しかも、雑誌依存をしている出版社っていうのは結構多いですから。というのは、何故かと言うと、単行本が売れなくなって、ごく一部の筆者のものしか売れない。

しかも、流通しないというのが出てきて、郊外型の新刊本とこの一年ぐらいの本しか置いていない雑誌が中心の本屋には段々本というのが行き渡らなくなってきた。ベストセーラしか行き渡らなくなっています。


宮台:雑誌は20万部以上出ていても、基本的に高コスト構造でやっている週刊誌はもう回らなくなっていて、廃刊、休刊の噂が絶えない。高コスト構造をどう回避するのかが重要で、週刊誌だったら残せるのは写真週刊誌だけかなという方向性になっているのは確かです。

基本的にはスポンサーが入らなくなっているのが大きくて、例えば、大手の新聞の全面広告にパチンコ屋の広告が載るようになった。あれは理由は簡単で、ダンピングしているからです。ダンピング率については色々お話がありますが、半分とかじゃなくてもっともっと落としている。でも、その中でだんっぴんグ率が高くないのは日経新聞だったりする。

一般的に海外のメディアを見てみますと、生き残るメディアというのは高額所得者がメインユーザーだとはっきりしている。例えば、WEBサイトであれば日経BPなんかがそうで、平均をすると年収900万円以上の人が多くアクセスをしている。そうすると、それがデータとしてはっきりしていればスポンサーがつく。つまり、金を払える奴が見ているメディアが残っていくと。タイムとかシュピーゲルはそういう風にしてWEBサイト化もしている。

何故かと言うと、元々ディープユーザーかつお金を払える連中。そうすると方向性が分かれて、一つはダウンサイズ化という方向と、高額所得者だけが見ているメディア。これがある程度コストをかけて内容を作れるということになるでしょう。


宮崎:それが難しくて、ある日本の新聞社は、ずっとハイクオリティのものを出そうとしているわけ。ずっと企画してからコストとベネフィットの計算をするんだけど、結局のところなかなか難しいと。日本の新聞ってやたら部数が多いじゃないですか。そういう体質から脱する事が出来ないんですよ。


宮台:それはマスメディア全体がそうで、今まで持っている既得権益があるから贅肉を落とせない。だから、会社がどんどん倒産していくような流れにならないと背に腹は変えられなくはならないでしょう。

基本的には、大衆向けに今の様な形で新聞を売ったり、番組作ったりというのは難しいですね。そうすると、大衆はネットでアクセスできる無料、あるいは無料に近いコンテンツということになって、金があるやつは金払って有料コンテンツを買うという話になりかねない。そうするとディバイドが進むと考えられますし、他方、有料コンテンツがかろうじて残ると考えられますし、色んな評価がありますよね。