白と黒 10〜15話

一葉の押し付けがましい善意が10話で露呈しました。
これは実際に言った言葉ではありませんが、要するに、「あなた(礼子)が可哀想だから、善人の私が自分の気持ちを殺してまで親切にしているのに、なぜ私の思ったとおりにならないの?」という事です。それが段々狂気じみてきて、章吾がいなくなったら研究所に何度も電話をかけ、しまいには温室ハウスの花をまるで花占いをしているかのようにむしるという行動に出ます。そして聖人に騙された形とはいえ、迷惑関係なく章吾にアプローチをして公然と私は章吾と結婚するのよ!と言ったり、壊れていきます。

最後のシーンで、事故の時には殺意があったわけではないが礼子を置き去りをしたのは事実で、殺意があったかどうかはどう思ってくれてもかまわない。でも今は明確に礼子にいなくなって欲しいという感情があると明らかにしました。直後に衝撃の発言が飛び出すわけですが、事実なのかどうかは分かりません。

一葉だけに興味をもっていかれがちですが、礼子も礼子で、章吾が追いかけて来てくれるのを望んでいるということを否定しておいて、実際章吾が来たらもの凄く嬉しそうな顔をして、聖人のことを忘れていちゃいちゃするという、少しやっかいな面があったりします。

あと気になったのは東谷の土地の所有者の安達さんというのも面白い描き方をしていて、この人は研究のことを誉めたり力になりたいと言っておきながら、結局、金や息子の就職斡旋という自己利益に飛びつき土地を譲ってしまいます。超低姿勢だから、こちらも低姿勢になり、「いいんです、いいんです」という感じになってしまいますが、それは批難を浴びるのを避けるためで、自己保身の為の低姿勢なんです。


そういった分かりやすい描かれ方をしている人がいる中で、聖人というのは相変わらず掴み所が無く、何が目的なのかまだ分かりません。家族の平穏を保つため出て行ったというが、なぜ戻ってきたのか?地下室にて一葉に語ったことは感情のテンションからして本心のように思えます。となると、父親への反発心からああいった行動をしているのかもしれません。