M2のJ-POP批評2007 第一部「JPOPは遂に死んだのか?」

TBSラジオ「アクセス」の毎年恒例行事、宮崎哲弥氏、宮台真司氏による文化批評第一部のまとめです。

(宮崎)
今年はなんにもなかったね〜。

(宮台)
あのね、今年は違ったモードでいくことにしたんですよ。
というのは、恋空を見て、もう終わったって言っちゃ駄目だなと。終わりは始まりであるとして、何か新しいものが始まったと考えることにしようと思いました。我々が共感する事が全く不可能、こんなに理解不可能な映画は無い。

(宮崎)
そんなに面白いの?見てないけど見なきゃいけない?

(宮台)
見なきゃ駄目だよ。我々が1ミリも共感できないものについて、泣きまくっている人たちがいる。そうすると単に批判しちゃ駄目。歌謡曲についてもJPOPについても、同じようなスタンスで望んだ方がいいんじゃないかと思うようになった。
というのは、確かにCDの売上だけを見るとものすごく落ちていて100万に届くものは全く無い。ところが、着うたフルというのがCDの使い方と非常に近くて両方のデータを合わせると100万に届くものが2つある。そのラインでいくと初音ミクというものがあって去年大ブレイクしました。僕も楽しんでいます。

(宮崎)
私もちょこちょこ遊び始めました。

(宮台)
十数年前、漫画が同人化していく流れがありましたが、音楽やアニメの世界についても同人化していきます。ただ、マスコミの世界には出てこない。
何が面白いのか考えたんだけど、やりとりを通じて共通体験をyoutubeやニコ動で作り上げているような気がする。これは、なつかしいコミュニケーションでもあり、70年代後半に元々ロックに関わっていた連中が「よい子の歌謡曲」とか「リメンバー」という批評雑誌を出して、それがきっかけで沈底していた歌謡曲が盛り上がって、分かる奴には分かるブームが起こったところから80年代の仕掛け人が出てきたりした。こういう流れを思い出す。分かる奴には分かるみたいな動きが出て来るというのは、新しい事が始まるかもしれないということ。
CDベースで言うと、CDシングルが売れなくなったっということだけで音楽が終わったというのはちょっと早いのではないか。ただ、世代的に言うと僕にとっては終わったというように感じます。

(宮崎)
自分に思い入れが無いものに、これだけあたかも思い入れがあるかのうように言わなきゃいけないなんて、社会学者って大変だな〜。
好きだから心地よいといえば心地いいんだけど、カバーがやたら多かった。初音ミクにしてもオリジナルも歩けど、割とカバーが多い。

(宮台)
カバーを中心にして購入している層と、ファンアイテムとして購入する層が全く分かれていると思う。あと、着うたフルで購入している層と、コミュニケーションのネタとして着うたショートverを購入している層も分かれている。
実際、CDシングルとアルバムのランキングを見てみると、ほとんど重なってなくてアルバムの方は30〜40代が多く購入している。シングルはそれとは違う層、さらに着うたは違う層と、マーケットが一つじゃなくなっていて、違うマーケットが出来上がっていると考えた方がよい。

(宮崎)
サブカルっぽいものとしては、おしりかじり虫は面白いと思ったんだけど、それを作ったのはウゴウゴルーガを作った奴らで、80年代のサブカルの残党なんだよ。