まどかは魔法少女になるべきだったか 魔法少女まどか☆マギカを批判的に見る その1


始めに断っておきますと、私にとってこの作品は、感動もしなければ、何か特別な思いを抱くものではありませんでしたが、娯楽作としてはよく出来ていると思いますし、それなりに楽しめました。また、制作者側もヒットを狙ったというわけではないかもしれませんが、インタビューを読めば判る通り、岩上敦宏プロデューサー主導で話題性を狙って計算された作られ方をしています。

娯楽作として作られたものに批判的な見方をするというのは、普段あまりしないのですが、様々な批評などを見ていまいち納得できない部分があったりしたので、それは何故何だろうと考えたことを書いていきます。


本題に入る前に、全体を通して気になっか箇所や疑問を箇条書きにしていきます。

  • 杏子の生い立ちの話がリアリティがあるようでない特殊設定すぎて共感し辛い。杏子が正しいという父親の訴えようとしついることが何なのかぼんやりしすぎているし、魔法少女であることがバレた説明がなく、展開のための設定という感じがしてしまう。
  • 感情のないインキュベーターが何故感情をエネルギーに変換するテクノロジーを発明至ったのか謎。感情が理解できなければそれをエネルギーにしようといい発想が出てこないのでは?QBには魔法少女の力の大きさが判るようなので、感情が出す何かを感知する特殊な能力があるようですが。11話でQBが「僕たちの文明は感情という現象は稀で、精神疾患でしかなった」と補足していましたが、感情が無ければ精神疾患という概念も存在しないはずで、まどかに判るように説明したとしても、インキュベーターがどう感情を捉えてきたかがあいまい。
  • なぜ少女でなければいけないのか理由付けが弱い。QB曰わく、第二次成長期の少女の希望と絶望の相転移が最も効率よくエネルギーが集められるということですが、それだけの説明では納得できません。わざわざ言及するからには、オタク的お約束や商業的な意味を超えた理由付けが欲しい。
  • 魔法少女(QB)がいたからこそ今があるていう理屈がいまいち納得できない。魔法少女の一部が歴史の転機をもたらしたというのは理解できるとしても、魔法少女が生まれなければ今でも洞穴に住んでいたかもとなると理解ができません。かもしれないとは言っていますが、それに対してまどかは何も思わなかったのか不思議。また、杏子が等価交換の法則めいたことを言っていましたが、魔法少女というシステムがある世界が現実に我々が知っている世界と同じなのもどうなんだろうという部分も。
  • 有史以前からQBが魔法少女を生んできたということですが、そこまで昔だと人間の感情というのは今より複雑ではないはずで、それほど大きなエネルギーを生み出さないのでは。これも少女が特別な存在である理由が薄くなる一要因。
  • 過去にほむらやまどかのような魔法少女は現れなかった?
  • まどかにそこまで肩入れする理由含め、ほむらの本気度がいまいち感じられない。作中で提示されたループ回数は5回。実際それ以上しているとしても、作中で提示されたほむらの行動は、自分の話を1回信じて貰えなかっただけで、自分一人で闘う決意をし、なぜかついでにイメチェンして夜中にまどかの部屋の窓外に、ぬっと現れ、まどかからしたら訳の判らない忠告をするという少し笑ってしまうような行動をしていて、本気でまどかを救おうとしているとは思えない。
  • ほむらは、まどかを救えなかった?QBがどうやってもまどかの運命を変えられない的なことを言っていますが、果たしてそうなのか。ほむらがやるべきことは、まどかたちに自分の言うことを信じてもらい、協力してワルプルを倒すことです。QBの妨害を受けるかもしれませんが、未来から来たということは、初対面で知っているはずのないこと、何を願ったかなどを話せば信じて貰える可能性があります。ただ、ここでくせ者になるのが並行世界という設定で、それぞれの世界の人物背景や社会が微妙に違ってら難しくなります。その辺はあまりちゃんと描かれておらず、どう捉えてもいい感じになっているのでなんとも言えません。(ちなみにまどかは、一つの世界だけでなく、全ての並行世界の魔女を消し去ったようですが、まどかが魔女化して滅亡した世界は、まどかの存在が消えたことで滅亡を免れがれたのだろうか。)話を戻して、ソウルジェムが魂から出来ていることは自分で証明してみせればいいので信じさせることはできるはずです。これらのやるべきことをやっても、うまくいかず今の状態なら判りますが、そういう描写がないので説得力に欠ける。
  • まどかが願いを叶えた後のマミと杏子、さやかとの精神世界的な中でのやりとりへの導入が上手くない。キャラの心情の説明のために入れました感が強くあり、冷めてしまった。ここまで親切的にする必要があったのだろうかと思います。
  • まどかが世界を作り替えているところを、何でほむらは月みたいなところで客観的に見れるの?QBが「君は時間を超える魔法の使い手だったね」と説明していますが、ほむらは時間を止めることと、特定の時間に遡る能力しか持ってないはずで、時空間を超えるのは単純に?理屈を超えたことが起こっているというなら、QBに理屈を説明させる必要はなかったと思います。
  • キャラの言動にバックグラウンドが感じられず、自然に滲み出てきたものというより、作者が展開、仕掛けありきで言わせている感じが強く、キャラが駒として機能している部分がある。

本題に関わらない話題は以上ですが、長くなってしまったので、本題は後日更新致します。