国会ウォッチ 2月19日衆議院厚生労働委員会 民主党・岡本英子氏の質問 待機児童について

○岡本(英)委員

現在、待機児童数は二万五千三百八十四人となっております。特に都市部にこの待機児童が集中をしておりまして、一位には横浜市が、次いで川崎市、そして仙台市、さらに四番目には東京の世田谷区というような順番になっているようですが、先般、今後五年間で保育所の定員を毎年五万人ずつふやしていくということを発表されました。大変期待をしているところですが、保育行政といいますと、私は、以前の小泉政権の待機児童ゼロ作戦が実施された年を思い出しました。

弾力化の上限枠を撤廃して、子供の詰め込みが進み、そして対応する保育士も非常勤でもよいということになりました。その結果、保育施設での死亡事故は、二〇〇〇年までの一七・一四%から、この上限枠を撤廃しました二〇〇一年度からは、三四・九二%まで死亡事故の割合がふえていきました。

この要因の、大きな問題の一つは、認可保育園で保育士の七〇%が非常勤という雇用形態も珍しくないという状況の中で働いている、この現状ではないかと思います。パート保育士が一日を三交代にするなどして、安定しない保育環境をつくり上げてしまったということだと思います。

子供たちを中心に考えますと、子供たちが昼寝に入ってから目が覚めると、先生たちががらりとかわっているというようなこともあるわけです。何よりも、保育士さんも低賃金で雇用され、重責を担った仕事につくという雇用環境を今すぐ改善をしていかなければいけない、私はこのように思っております。

そこで、保育事業の一環として、保育士の雇用環境整備について今後どのように考えておられるのか、長妻大臣にお伺いをしたいと思います。

○長妻国務大臣

今、御指摘いただきましたように、子育て支援といったときに、やはり現金支給、これは子ども手当、あるいは現物支給、保育所の整備、ワーク・ライフ・バランス、この三つがバランスよくならなければならないということだと思います。

今、保育士の環境整備ということですけれども、質の高い保育士を確保してサービスの質を向上するというのは、これはもちろん重要なことだと思っています。

では、具体的にどういうスケジュールでその充実を図るのかということでございますが、まず、先月の二十九日に子ども・子育てビジョンというのを閣議決定いたしまして、その中に、サービスの質の改善というところで、職員の配備を今後考えていきましょう、職員の処遇、専門性の確保、どうあるべきかという課題を盛り込ませていただいて、それについてことしの前半までに方向性を固めて、法案の必要があれば来年の通常国会に法律を提出していこう、今こういうスケジュール観で取り組んでいるところであります。

今おっしゃられたように、認可保育所等の定員をこれから毎年五万人ずつ五年間ふやす、こういうことがありますので、当然、保育士のニーズも高まってまいりますので、それを見据えて、幼保一体化の取り組みと同時に、この問題についても我々最善を尽くしていきたいと考えております。

○岡本(英)委員

ありがとうございます。待機児童解消に向けては、やはり保育制度をさまざまなニーズに対応できるように拡充をしていかなくてはいけないのではないかと思っています。

きょうは資料をお配りさせていただきました。例えばフランスなどでは、施設保育で五種類、家庭保育で二種類、裏面が全体像として、きょう資料を配付させていただきましたが、利用者が必要なニーズに合わせて保育制度を選択し、そして利用できるというようになっています。

そういった中で、子供たちが一日を過ごす場所として、また利用する親が利用しやすいという意味での制度の拡充が必要だと思いますが、どのようにお考えなのか、お考えを伺いたいと思います。

○長妻国務大臣

今、配付資料でフランスの例を見せていただきましたけれども、フランスは合計特殊出生率が二を上回るということで、我々も一つのお手本にしたいと考えているところであります。

その意味では、例えば保育ママについて、御自宅等でお子さんを見ていただく制度ですけれども、これについても、保育ママになる方の条件が今までかなり厳しかったわけですけれども、これも、慎重に検討した結果、その制限を緩めて、多くの方が保育ママになれるような条件整備ということも考え、そして、その保育ママ等に対する予算も、平成二十一年度から倍にしまして二十八億円を二十二年度予算案で審議を今お願いしているところでございます。

あとは、よく言われている小一の壁というのもありまして、保育所では夕方あるいは夜預かってくれるんだけれども、小学校一年になると放課後児童クラブが早く終わってしまうということで、そのすき間を埋める必要性も我々感じておりますので、そういう問題も含めて、子ども・子育てビジョン、閣議決定されたものをさらに深化させるように取り組んでいきたいと考えています。

○岡本(英)委員

今、保育ママのお話もいただきましたけれども、柔軟な制度という意味では、他の諸外国ではいろいろな取り組みをされておりまして、アジアの中ではシンガポールがベビーシッター制度の導入をしているようです。また、イギリスやフランスなどでは、名称が違いますが、チャイルドマインダー、そしてアシスタントマテルネルというようなシッター業に公的な補助が出ているということでございます。

他国から、教育を受けてベビーシッターのビザを取得し、そして入国後就労するというものですが、今現在、介護の現場では実施をされておりますけれども、このような制度を日本の保育行政の中で行うことがあるのかどうか、長妻大臣のお考えを伺いたいと思います。

○山井大臣政務官

御質問ありがとうございます。私も以前シンガポールに一カ月滞在したことがありまして、シンガポールでは、フィリピンの方とかが多くベビーシッターで活躍をしておられました。

新たな次世代育成支援のための検討の中で、ベビーシッター等の訪問系のサービスの位置づけも今検討を行っているところであります。ただ、現時点におきましては、まずは国内の人材の確保をしていくことが重要ということを考えておりまして、このベビーシッターということに関して外国人労働者を積極的に受け入れていくということの検討は、まだしていないというのが現状でございます。

○岡本(英)委員

ありがとうございます。ぜひ、柔軟な制度の取り組みにも前向きに取り組んでいただきたいと思います。

私も子供がおりまして、ゼロ歳から三歳のときには保育園にお世話になっておりました。そして、横浜では、横浜独自で、横浜の規定に合う園には市の補助金がおり、そして横浜保育室という形で経営をされておりました。この横浜保育室は、認可と無認可の間に位置する保育園となるわけですが、大変多くの方たちが利用されております。そして、この利用している方たちは、何よりも安心できる保育園を探して入園をしたいと願っています。

そういった中では、何も新しく保育園を建ててほしいという思いではなく、小学校の空き教室などを利用して子供たちを保育していただけないものかという素朴な疑問を持っているのも現実だと思います。そういった意味では、学校という場所は安全性も高く、そして校庭もあり、施設としては十分な場所ではないかと思います。そういった意味で、保育園というものを小学校の中につくっていく、これは例えば、小学校の施設利用ができ、すべてではないですが、学区の中に保育園をつくることができるわけです。

第二次補正予算の中にも空き教室の利用が書かれておりましたが、具体的にどのように進めていかれるのか、伺いたいと思います。

○高井大臣政務官

お答えいたします。御指摘ありましたいわゆる空き教室、私たちは余裕教室と呼んでいるんですけれども、ある教室が普通教室として使われていない教室、そういうものをできるだけ有効に活用していろいろな、とりわけ保育所にするというのも有効な選択肢の一つだと考えています。

現在、そのいわゆる空き教室の教室数のうち、保育所として活用されている教室数が三十九なんですね。特に横浜なんかでは大分頑張っていただいて、四つがそういうふうに使われているというふうに聞いておりますけれども、多くの場合は近隣の私立保育所の分園として整備されているというふうなお話でございまして、社会福祉法人や学校関係者が連携して活用しているというふうに聞いています。

私たちとしましても、いわゆる空き教室というのがあっても、それもかなり、九割以上は今いろいろな、習熟度別授業や特別支援など、教室のある部分として使っている部分も多かったり、社会福祉関係の施設として連携して使っている部分もあったりもいたしますが、できるだけこれを転用して活用するということは有効だと思いますので、努力をしたいと思っています。

○岡本(英)委員

先ほど長妻大臣の御答弁をいただいたときにも、幼稚園と保育園の一体化、幼保一体的なものについて、来年にも基本的な方針を固められて打ち出していくということを伺いました。

この幼保一体化について、さらに、来年に向けて具体的にどのように進んでいくのか、その部分についても教えていただきたいと思います。

○長妻国務大臣

これは、今まで幼保一体化というのはなかなか実現ができなかった。認定こども園というのもありますけれども、なかなか本当に一体という考え方にはまだ遠いということで、政権交代を機に幼保一体化を実現していこうということで、具体的には、子ども・子育て新システム検討会議というのを設置いたしまして、まだ初会合は開いておりませんけれども、これを速やかに、この場で検討をきちっとしていく。そして、来年の通常国会までに法律を出す、こういうおしりを決めまして、これについてさまざまな方の御意見も聞きながら、当事者の方の御意見も聞きながら、幼保一体化ということを着実に実行していきたいと考えています。