“官”と“民”のすき間 「新しい公共」の可能性 WBS文字起こし

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  • 旅のお手伝い楽楽

看護師の武田さん。平日は病院で勤務するかたわら、週末などに高齢者や障害者の旅行をサポートする。

高齢者・障害者の旅行支援サービスをしている「楽楽」。利用料は1日6時間で1万9425円。「楽楽」は、看護師や介護福祉士など約30人と契約し、これまでに450組の旅行をサポートした。イギリスのように、介護保険で余暇活動も公的サービスの対象としている国もあるが、日本では対象外。

旅のお手伝い楽楽、佐野恵一社長の話

財政が厳しい中で行政がなかなかそこまで出来ないというのがあると思うので、われわれみたいな形でビジネスの手法を通して、出来るだけ自主財源でやっていくと。

公的なサービスを穴埋めするビジネス。鳩山政権は、ここに熱い視線を送る。先月取りまとめた成長戦略の中でも、その重要性を強調した。
政府は「新しい公共」を推進するために、第二次補正予算に70億円の財源を盛り込んだ。新しい公共を担う社会的企業を始めたい人をコンペで選び、300万円の資金を提供。ただ、支援は起業時だけで、その後は補助金に頼らない事業の運営を促す。

松井孝治官房副長官の話

これからは公務員の身分を持った職員だけが公共サービスを提供するということではなくて、市民一人一人、あるいは株式会社であったり、町内会などが、従来役所が担ってきた機能をどんどん担っていくんだと。

中央からお金をばら撒いて、上から目線で行政サービスを提供するというものではなくて、実際の地域の実利に根ざして、色んな方々が公の世界に入っていけるようなものに作り変えていきたい。

新たな公共サービスで成功した会社がある。病気にかかった子どもの保育サービスを展開するフローレンス。風邪をひいて、保育園で預かってもらえない子どもを自宅で保育する。全国的に病児保育の施設が不足する中、フローレンスは新しい公共の担い手だ。
フローレンスは、儲けが薄い公共サービスをビジネスとして成り立たせている。現在、一般的な病児保育の施設は国から補助金を受ける一方、保育料は一日2000円と決められている。だが、採算が合わないため、6割の施設が赤字。これに対し、フローレンスは補助金を受けていないため、保育料を独自に設定できる。会員制で収入を安定させ、非施設型にすることでコスト負担も減らした。

フローレンス・駒崎弘樹代表理事の話

私達の事業は、公共サービスを担うとはいえ、しっかりと利潤を出していかなくてはいけません。そうでなければ、持続的で安全安心なサービスが提供できません。

これからは、脱補助金というのがテーマだと思います。というのは、行政から「これをやってください、その代わりにお金を出します」となると、行政が事細かにやり方を決めてしまいます。これでは、イノベーションは起きません。発想によってイノベーションを起こしていって、政府や行政が出来ないことをやっていく。これこそが、新しい公共に求められるべき姿勢なんじゃないかと思います。

政治家や官僚に愚痴を言う時代というのは、もう終わっています。

社会的企業は欧米に比べ、市場規模がまだ小さい。こうした中、自治体も新しい公共の推進に動き出した。東京都は去年10月、新たに社会的企業をやりたい人の支援に乗り出した。