アニメ制作会社が脚本買い取りへ?

WEBアニメスタイル首藤剛志さんのコラムで、首藤さんは、日本脚本家連盟・アニメ脚本家の懇談会の話を知人から聞き、その中でアニメ制作会社から若手の脚本家に、脚本買い取り契約書を書かせようという話が出たという事を書いています。引用すると、

懇親会の内容を出席した脚本家の方達の何人かからうかがったのだが、今は、病院をキャンセルしてでも懇親会に出席したほうがよかったと思っている。テーマは脚本家の著作権についてであり、僕の話題も出たらしいからだ。

なんでも、最近、アニメ制作会社から若手の脚本家の方に、脚本買い取り契約書を書かせようという動きがあるという。

言うまでもないが、脚本家の著作権は基本的に守られており、ある一定の期間が過ぎると、再放送の時にはわずかだが著作権料が入ってくる。DVD、ビデオなどの二次使用も同様である。

だが、脚本家が買い取り契約書にサインすると、全て著作権料はなしになってしまう。

で、今、不景気だからかもしれないが、通常のギャラより数万円上乗せして、買い取り契約書にサインさせて、脚本家から著作権を買い取ろうとしている会社がでてきているらしい。

正直言って、「脚本家の著作権買い取りはダメ」は30年以上昔に解決したつもりの僕としては、今頃その話が出てくるのかと、いささかびっくりである。僕としては、21世紀にもなって、この日本に、脚本買い取り契約書なるものが存在すること自体が信じられない。何をいまさらと、いささかうんざりもしている

ということを書いていて、さらに、買い取り契約書にサインする脚本家は信用できないとして、サインを迫られてもしないように勧めています。その部分を引用します。

結論から先に言うと、あなたが脚本家なら、買い取り契約書にサインするのはあなたの勝手だが、シリーズ構成としての僕なら、そんな方の脚本はあまり信用できない。自分が本来持っている著作権を売り渡す人の脚本は、期待できないからだ。買い取ろうとする製作会社もどうかと思う。著作権を売ってしまうような脚本を、脚本家が真面目に書くとは思えないからだ。

安かろう悪かろうの脚本では、ろくなアニメはできず、結局、損をするのは製作会社である。

事情を知らずに、「買い取り契約書」を書いてしまった脚本家の方は、今後、「買い取り契約書」を断ることをお勧めする。