M2のサブカル批評 2008 Part.3

TBSラジオ「アクセス」で放送された宮崎哲弥宮台真司、両氏によるサブカル談議の文字起こし。Part.3はテレビ業界についてです。


宮崎:今のテレビはいよいよ経費というのが深刻な問題になってきて、視聴率至上主義が壊れようとしている。視聴率が取れても経費がかさむ番組はダメという事に。まぁ、ある意味適切なコスト感覚が発生し始めたともいえるんだけど。ということで、面白くて骨のあるどころか、視聴率を取れていてもお金がかかるのはダメという世界に入ってしまいました。


宮台:1時間3000万とかで番組を作っていては駄目なんです。諸外国のレベルまで下げなければだし、僕が関わっているインターネット番組は10万円で作ってますから収益が出るわけです。収益構造がスポンサーシップに依存して、高額なお金を回すというやり方で、TV・ラジオ・新聞や雑誌もそれでやっていた。
ところが、経済はこれから縮小化していきますんで、スポンサーを当てに出来なくなれば、当然のことながらダウンサイズをするしかない。とにかくフリーキャッシュフローが縮んでいくので、なんといっても最初に手をつけるべきは人件費です。


宮崎:もうちょっと言いにくいことを言うと、テレビ局員のプロダクションとか下請けではなくて、正社員の給料に手をつけざるを得ないと思います。

渡辺:テレビの内容自体はどうなっていくんですかね?

宮崎:意外とお金がなくなったときに何をやるかということを真剣に考え始めると、結構いいものが出てくる可能性がある。悲観シナリオもあるけど、そういう楽観シナリオもあるということを言っておく。


宮台:贅肉がいっぱい付いているということは、ルーチンで回っているということ。それは番組の人件費だけじゃなくて、設備費も全部含めて割高になっているだけ。割高になっている中には、経済を下敷きにコネクションを作って、自分の息子をどこどこに就職させるとか、全部入って込みこみで回しているシステムでしょ。
その贅肉を切り落としていけば、ルーチンでは回らなくなる。そうすると、ルーチンの中に覆い隠されていた新しいアイデアが出てくる可能性はあります。


宮崎:これはただちに下請けの切捨てに繋がるのであんまり言いたくないんだけど、ゴールデンタイムの番組の中には、なんでこんなに豪華なセットが必要なんだろうと思うのがある。
ああいうものは、これから段々、お金がかけられなくなっていくということだと思います。でも、そのセットを造るためのプロダクションとか、下請けがあるわけで、園人たちが干上がってしまうと困るので、どういう風にやりくりしていくかということが課題になってくる。


宮台:そこは経済の話全般に繋がる事で、企業の合理性から言えば、ダウンサイズしていくしかない。しかし、労働市場が硬直している状況で解雇された人間は新しい就職先を見つけられないんで、そこをどうするのかという問題がある。
そうすると、高コスト構造を維持する事が公共的だという話になりかねない。ただ、常識的には20万、30万で帰るものを500万欠けて調達しているようなのが今のテレビ局なので、それはいくらでも縮めることはできます。