true tears 総評

美少女ゲームのセオリーを踏まえた実際の土地を舞台にした地域色の強い恋愛ドラマ。
乃絵がもう少し普通の子だったらゴールデンタイムでやってもあまり違和感が無い感じの話なんですが、結局比呂美が何故そこまで眞一郎のことを好きになったのかや、比呂美の母親とはどんな人だったのかとか不明瞭なところがあったりして、比呂美というキャラクターを掴めないまま終わってしまった感じがあります。
一応前者は子供のときの祭りのことが一つ提示されていますが、高校生までずっとそれを引きずっているというのがあれだけではどうも弱い。まぁ、そこら辺が美少女ゲーム的といえばそうなのかもしれませんが。

愛子のエピソードで、正直眞一郎のことが好きというくだりいるかなぁと思っていたんですが、最後にまた元のさやに収まったのを見て、あれだけ大きなことがあったのに、何事もなかったようにまた付き合うというのが現代的というか、リアルなように思えました。でも、これが無かったら描写不足もなかったんじゃないかと思うと微妙な部分が。

乃絵兄の最終話直前のカミングアウトは、眞一郎に無理矢理な約束を交わした理由にも繋がるんですが、これも描写不足で蛇足感。

総ずると短い尺の中にあれもこれもと詰め過ぎて、メインのドラマが押し潰されているところがあり、脈略のないところが出て来たりしていたので、もっとストレートにやったほうが良かったんじゃないかなと思いました。アニメとしての表現は、絵本にかけた止め絵カットが良かったぐらいで後は特に目立った表現は無かったように思います。あと、やたらと口元のアップが多かった(特に終盤)印象があり、これは表情・感情を視聴者に想像させる効果があると思いますが、多用しすぎると演出の逃げなんじゃないかというように思ってしまう部分も。

乃絵兄弟はどうなるか分かりませんが、あの2カップルは土地柄もありあのまま結婚なのかな。