電脳コイル 26話「ヤサコとイサコ」&総評

収まるところに収まった良い最終回でした。
ひねくれた大人側から見ればありがちといえばありがちだし、この設定でもっと描けることはあるだろうとか、何故ヤサコはデンスケの感触を得ることが出来たのか?等の設定上の疑問があったりしますが、小中学生向けアニメとして見れば見事な出来栄えで、SFを扱いながら少年少女の成長物語を描いたアニメーション史に残る名作と言って間違いないのではないかと思います。

デンスケとの再会シーンは背景を真っ白にして、ヤサコとデンスケの存在をより際立たせるような演出で良かったです。

イサコというキャラクターは青年的な要素を多々持っていて、小学生らしからぬ言動を今までしてきましたが、最後のセリフの

「友達というものはよく分からない。でも、お前は同じ道を迷って、同じ道を目指した仲間だ。でも仲間なのは同じ道を目指している時だけだ。私みたいな人間はいつまでも他人と一緒にいると自分の道が見えなくなってしまう。また会おう、同じ道を迷った時に。それまではさよならだ。」

これは完全に中学生なりたての女子が言うセリフではなく(笑)違和感があるんですが、2人が凄く仲良しになるという展開にならなかったことはとても良かった。
恐らくイサコはヤサコ達とは違う学校に行くことになったと思うんですが、これをイサコ自身が決めたということになると、仲間がいる安心な環境の方に向かうのではなく、他人と一緒にいると自分の道が見えなくなることを見据えて、あえて違う環境に身を置くという選択をしたことになります。そこにイサコの賢明さがあり、エヴァには無かった他人との距離のとり方を示した終わり方をしたところが何より感慨深い。

作画に関しては、一時期崩れかけたましたがこれぞアニメーションという、動きの面白さだったり表情の豊かさがあり、それぞれのキャラがちゃんと生きていると感じられる作りになっていて、見ていて飽きない味わいのある作画でした。再放送は表情に注目して見ていきたいと思います。


続編も出来そうな終わり方をしましたが、やるんだったら1年後とか2年後ではなく、今中学生の子が大人になったぐらいの時期に、大人向けのハードな電脳コイルを作って欲しいですね。ベタなところでは、今度は立場が逆転して道を踏み外しそうになっている、もしくは外してしまったヤサコをイサコが助け出すというストーリー。

※今後も追記していく予定です。