「休日分散で変わる日本経済」 WBS特集テキスト化

http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/highlight/o1_254.html

この施設では、オフシーズンのサービスを子連れのファミリーに特化し、冬場の客室稼働率を2倍に上げた事で、年間の経営が起動に乗った。

(リゾナーレ総支配人 桜井潤氏の話)

ハイシーズンの一番売り上げが高いときに、売り上げをもっと伸ばそうというのは難しいですよね。部屋数にも限界がありますので。ですから、稼動していないところを高めていくのは、事業の安定に直結しているなと実感しています。

ゾナーレを運営するのは、老舗旅館の再生などで知られる星野リゾート。星野社長は、オフシーズンの需要喚起に様々な工夫を凝らしてきた。しかし、それでは解決できない構造的な問題があるという。

星野リゾート社長 星野佳路氏の話)

需要過多の100日と供給過多の265日という産業構造が出来上がってしまっているんです。休みが集中し、需要が集中してしまっていることで、旅行需要そのものが圧縮されているんです。

国内旅行の市場は、およそ23兆円。このうち20兆円が、ゴールデンウィークなどのハイシーズンといわれる100日だけで作り出される。この幅を広げることが出来れば、更に市場は拡大する。

(星野)

問題は休みが集中してしまっていることなんですね。家族が一緒に休める日を分散していく事が大事。渋滞で、部屋も取れなければ、「旅行を止めてしまおう」、「海外に行ってしまおう」となり、需要が逃げてしまっていた。その需要を取り込むことで、産業全体、経済全体としてプラスに働くと思いますし、なんといっても利用者にとって一番プラスに働くと考えています。


休みを平準化することによって、内需が活性化すると、製造業の方々が作っていらっしゃる商品の需要も増えると思います。観光産業だけにプラスということではなく、サービス産業や製造業にもプラスの効果が出てくる策だと考えています。

  • フランスの休暇制度について

フランスでは、1964年から学校休暇の分散化が始まった。地域経済への貢献などを目的に国内を3つのエリアに分け、1週間ずつ休暇の時期をずらしている。その結果、交通渋滞は減少し、観光施設などが安定した経営を行なえるようになった。また、観光産業が受ける天候によるリスク等も低減したという。フランスのGDPにおける観光産業の割合を見ると6.2%で、日本より0.9%多い。

祝日の見直しということで、法律も見直さなきゃいけないです。ですから、トータルに考えていくと。制度を変えて、あんまり予算をかけずに日本の中の動きをつくって、日本全体を元気で明るくしたいと思います。

導入の時期については、もう少し時間をかけた方がいいと思うんです。一つずつ問題点をクリアできるか、丁寧に検討を進めていきたいと思っています。

観光庁は、今年の夏にも実証実験を行なう。数箇所の自治体を対象に小中学校の夏休みの一部を9月に移し、その間どう過ごしたかなどを検証する。

休日分散化によって、消費が増えるだけでなく雇用も増えるという効果もあるんではないかと思います。旅行に関わる、飲食・宿泊業というのは、正規雇用の方が3割いないんですね。これはなぜかと言うと、ピークの時だけにしか人が来ないので、他の時期に雇って置けないということなんですね。休日をずらすことによって、4割、5割と常雇用が増える。これによって、雇用が増えて消費が増えるというだけじゃなくて、トレーニングされて、質のいいサービスを出来る人が増えてくるというプラス効果があるんじゃないかと思います。これは早く実現して欲しいですね。