国会ウォッチ 1月28日参議院予算委員会 民主党・山根隆治氏の質問「統合医療の問題について」

(山根)

西洋医学と世界各国の伝統医療を融合させて患者本位の医療を行うというのが統合医療の基本理念だと思いますけれども、総理御自身、我が党の中の統合医療を普及・促進する議員の会の会長を務めておられまして、この問題について熱心にお取り組み今日までいただいてまいりました。そして、十の分野から勉強を民主党の中でさせていただきまして、二十年の九月には中間報告も出しているところでございます。

総理のこの統合医療に懸ける思いというものをお聞かせいただきたいと思います。

内閣総理大臣鳩山由紀夫君)

山根委員から統合医療に関するお尋ねがございました。

医療には大きく分けて、いわゆる西洋医学、医療、すなわち、これは大きく分けると、何か病気になったときにそれを治療するというのを中心としている医療と、それから、むしろ東洋的な医療、東洋だけに限りませんが、病気にならない、常に健康に維持していくための医療と、その二つが大きく分けてあるかと思います。
今までややもすると、日本の医療というものがその西洋医学中心であったのではないか、そのように思いまして、党の中でかつてから統合医療を勉強しようではないかということになりました。そして、様々御努力、研究をしていただいた成果というものがございます。

私としては、むしろ今、この内閣をリードする者として、統合医療を是非政府としても真剣に検討してこれを推進をしていきたいと、様々な問題点がまだ指摘はされておりますけれども、それを克服して推進をしてまいりたい、そのように考えております。

(山根)

この質問の通告をする際にも、厚生労働省の方においでいただいても、統合医療という質問をしても、統合医療のどの部分のお話なんでしょうか、御質疑でしょうかということで、窓口が一本化されていないというのが改めて昨日も確認をせざるを得なかったわけでありますけれども。

私は、やはり、漢方の場合にはこの部署だ、あるいははりの場合にはこの部署だ、柔道整復の場合にはこの部署だ、あるいは音楽療法の場合はこの部署だということで分けるのではなく、厚生労働省の中において窓口を一本化するということは是非進めていただきたいと思うのでありますけれども、長妻厚生労働大臣の御見解を賜ります。

国務大臣長妻昭君)

この統合医療の重要性に関する思いというのはもう総理からもかねがね聞いているところでございまして、おっしゃるとおり、今厚生労働省内で統合医療をかかわる部署というのが、例えば大臣官房の科学課、医政局の医事課、経済課、振興課、保険局医療課ということで四つほど分かれて、それ以外にも分かれておりますので、これは今後、統合医療の省内でプロジェクトチームをつくりまして、これを一本にまとめていくということで検討していくということであります。

統合医療は、もう言うまでもなく、西洋医学だけではなくて、伝統医学、漢方、鍼灸、温泉療法、音楽療法、芸術療法、心身療法、自然療法、ハーブ療法、ホメオパチーなどいろいろな広がりがあるものでございまして、厚生労働省といたしましても、この二十二年度の予算でかなりこれまで以上に、研究分野の統合医療の研究について十億円以上の予算を計上しまして、その効果も含めた研究というのに取り組んでいきたいというふうに考えております。

(山根)

プロジェクトチームの当面の仕事の内容といいましょうか、どういうプロジェクトの意味合いなんでありましょうか。つまり、これを積極的に総理の御答弁ありましたように推進していくということで、どの程度のものを想定をしているのか、是非お尋ねをさせていただきたいと思います。

国務大臣長妻昭君)

これにつきましては、先ほども統合医療の項目を申し上げましたけれども、今現在は、御存じのように、漢方、鍼灸、はり、きゅうの一部については保険医療ということになっておりますけれども、それ以外について、具体的な効果、科学的な検証ということで、まず漢方以外の統合医療について、これも予算を計上して具体的に研究をしていくということ、そして漢方については特に手厚く予算を付けさせていただいて、漢方のこれまで検証が進んでいなかった分野についての科学的な検証をするというのが大きな項目でございます。

(山根)

私も、先ほど申し上げました統合医療を推進する党の中の議員の会の副会長を仰せ付かって仕事をさせていただきました。

その中で、何とかこの問題についての基本法の制定ができないかということで、これは個人的に少しいろんな試案というものを作ってみた経緯があるんですけれども、そのときにやはり一番問題となるのは、科学的な根拠、有効性、安全性、そういうものが日本の伝統医療の中でまだ確立されていないということで、そのエビデンスというのが一番問題だということが私も分かったわけでございますけれども、今現在、東北大学、それから東京大学九州大学でそれぞれこの統合医療の推進ということで相当な研究がなされていまして、いろいろな蓄積ができてきているという状況でございますけれども、なかなかやはり予算的な措置ということでは統合医療学会の先生方も苦しんでおられるというふうに承知をいたしているところでございまして、こういったところで積極的に国が支援をして、そしてそのエビデンスというものを積み上げさせていくということで、本当に、まあまやかしと言ってはなんですけれども、首をひねるような分野のものもありましょうし、我々の分からないところですばらしい医療というのがあるかも分かりません。そういうことを科学的にやはりアプローチしていろいろなことを実証していくということがとても大切なことだろうというふうに思っております。

こういったところへの支援ということも含めて今後御検討をいただければと思いますけれども、御見解を承ります。

国務大臣長妻昭君)

そういう意味では、先ほどの研究費というのも、厚生労働省が自分でやるというよりは、そういう研究をしていただいているところに交付をするというような研究費でございますし、今おっしゃられた各種研究機関がこれまでも蓄積がありますので、今回、再びそういう蓄積を再度整理をして、一元的に調べてそれらの有効性というのを検証していきたいというふうに考えております。