大地に忍び寄る異変 WBS特集 文字起こし

http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/highlight/11_3.html

実は、森林などの土壌からは常にCO2が発生している。光合成でCO2を吸収した葉を土の微生物などが分解する時、CO2を大気に放出。その量は年間で600億トン。化石燃料による放出の9倍にもなる。広島大学では、温暖化環境での土壌呼吸の変化を測定している。

広島大学大学院生物圏科学研究科・中根周歩教授の話

土壌微生物や動物のアクティビティが、CO2を発生する能力がどれくらいか調べています。そのCO2を、土壌呼吸といいます。土壌の温度が10℃上昇した時に、CO2発生量は3倍近くになります。

IPCCでは、1.1〜2.2倍と想定されていたが、今回の実験結果ではおよそ3倍と大きく上回った。この結果から導き出される問題は大きい。

(中根教授)

急速な温度上昇に光合成はついていけないが、微生物はどんどん温度に対して反応する。このままでは、21世紀の後半には森林がCO2の吸収源から発生源に変わる。

  • 北海道・十勝地方での土壌異変

北海道農業研究センターは、土壌や雪の深さの測定を毎日行なっている。

寒地温暖化研究チーム・岩田幸良さんの話

ここ15年ぐらい、十勝地方では土壌凍結の深さが顕著に減少してきています。

80年代後半には60?だった凍結が年々浅くなっている。(データを見ると、06、07年は続けて凍結の深さは上昇している。)平均気温はほぼ横ばいだが、何故か?

(岩田)

雪が降るタイミングが早くなった。今までは1月くらいに積雪深が増えていたのが、12月上・中旬ぐらいに雪がたくさん降るようになった。

この異変が、十勝のジャガイモ農家に異変をもたらしている。

農家の人の話

冬の間に野良イモ(秋の収穫時に取りこぼし、畑に埋まったままのイモ)が凍って、通常は次の年には芽が出てこないが、凍結が浅いと次の年まで越冬してしまう。春に芽を出すが、雑草と同じ扱いになり、害虫を引き寄せてしまう。

対策として、トラクターによる雪割りが行なわれる。定期的に地表を晒し、人為的に凍結を深くする。しかし、野良イモを越冬させないために最適なのは、30〜40cmの凍結。それ以上凍らせると、春からの農作業が遅れてしまうため、加減が難しい。

そんな難点を解決する取り組みが始まっている。〜以下略。続きは動画をご覧下さい。