東のエデン TVシリーズ 総評

攻殻機動隊」、「精霊の守り人」に続く、神山健治監督のTVシリーズ3作品目にして初オリジナル作品。

これまでの作品はどちらかと言えば見る人を選ぶ間口が狭いところがあったんですが、今回は今までのやり方とは全然違う手法を使っていて、とにかく若い人を始め、多くの人に見てもらいたいという意思がはっきり感じられるものでした。


ニートの概念だけではなく他のリアリティの部分に対しては色々な突っ込みがあるとは思うんですが、そんなことは多分神山さんは承知でやっているはずで、その辺は半分度外視していて、とにかく若者の心を掴もうという事で、このTVシリーズは実にTV的な手法で作られており、エンタメ志向の作品になっています。

しかし、エンタメ志向ではありながら、現実の社会をそこそこ反映していた内容で、社会派作品としても見ることが出来て、神山さんは結構本気で社会の空気、とまではいかなくても観客の価値観に一石投じようとしているんじゃないかと思うところがあり大いに期待しているんですが、TVシリーズは多くの人がネタとしか受け止めていないところがあるように思うので、そこのところを劇場版でどう打破していくのかが課題であるように思います。


TVシリーズとしての延長でやるのか、神山さんなりの映画的手法を使った全く印象が違うものになるのか分かりませんし、どういった展開になるか全く予想はつきませんが、映画デビュー作をとても楽しみにしています。