ミチコとハッチン 総評

個人的にはもう少しハードなものを期待していたので物足りなさを感じているんですが、とてもよく出来たガールズロードムービーだと思います。どんな苦境にも正面から立ち向かおうとする女性の力強さが描かれていて、男性向けというより、頑張る女性を激励するような作品で、強い女に対して駄目な男という描かれ方が少し気にかかりましたが、恐らくそこは狙ってやっていて、女性の力強さを描くんだという姿勢が見て取れます。


他の方の感想を見てみると、全体的なキャラクターの感情描写が薄いということを批判している方や、それで感情移入できなくて脱落したという方がいて、確かにそう思う部分は多々あるんですが(例えば、次からは他人だとミチコから離れる決意をしたアツコがあっさり最終回で助けに来たり、結局ヒロシは何で生きているのか?何があったのか?が全く描かれていないこと)、それは脚本が下手だとかそういうことではなくて、24話の予定だったのが途中で22話になったというような裏事情が無い限り、作品のテンポ感や味を優先したということだと思っていて、このスタッフはこうした方が面白いと思ってやっているんだという感じがしました。

それをどう感じるかは各々ですが、僕はそこを描いたからなんなんだという気持ちもあって、最終的にこれでよかったんだと思えたのでそこら辺はほとんど気になりませんでした。


声優について、始めのうちは俳優が声優をやる時によくある不慣れ感や独特のくせがあって気になりはしたんですが、メインキャラの声については段々とはまってきて、最後のほうではこの声以外は考えられないなと思えたのでこの配役は成功だと思います。役者が下手ということではなく、演出でこの感じを出している面が多々あると思うんですが、それが成功しているかどうかはキャラによってまちまちというところ。


マングローブの作品は観る人を選ぶのでDVDが売れておらず、TVシリーズだけでやっているので会社として大丈夫なのか心配ですが、山本沙代監督の次回作も含めて色々と期待したい会社なので頑張って欲しいです。