M2のJ-POP批評2007 最終部「2008年、サブカルチャーはどこへいく?」

TBSラジオ「アクセス」の毎年恒例行事、宮崎哲弥氏、宮台真司氏による文化批評最終部のまとめです。

(宮台)
冒頭でも言いましたが、同人漫画が広がってもう数十年ですが、この動きが音楽や映画、テレビも含めて広がっていくと思います。ニコニコ動画youtubeを使って前提を作り上げていって共通前提を持つ仮想的な共同体、社会学では準拠集団と言いますが、それを前提として作品が作られ消費されていく。そうすると共通前提を持っている人間の中ではテンションがすごい上がるけど、持たないものから見ると全く意味不明というような世界にまずいくでしょう。
これは特に男の子の間でどんどん展開すると思う。女の子の中ではケータイ小説から始まった、文脈や関係性に依存しないタイプのドラマツルギーで涙をする、共感するというような方向がどんどん展開すると思います。

(宮崎)
私はもう少し刺激反応系というような流れが暴走していくかもしれないと思う。もうちょっと言うとドラッグカルチャー化。ドラッグっていけないことだけど浸透しちゃってるじゃない、それがわかる人間には分かるような形で表層の部分に出てくるんじゃないか。それがどういう風になるかっていうのは駄目かもしれないけど、影響力が強いものが出てくるかもしれない。
私は昭和30年代ブームというのはALWAYS的なものじゃなくて、本当に70年代っぽくなってきている部分があるという気がしなくも無い。だからこれから左翼が流行るんじゃないかと思う。政治思想としてリベラルということよりも左翼カルチャーみたいなものが流行るんじゃないかと。ちょっと前までは左翼チックなものはやばいものだったじゃないですか。そういうものじゃなくて70年代左翼的なやばめのものの中にやばさを感じるような流れが出て来る感じがする。

(宮台)
社会から疎外されようが、排斥されようが共通前提を持つ運命共同体としてサバイブしていくっていう、そういうサバイブ幻想みたいなものが起こるかもしれませんね。

(渡辺)
実生活としての日本はどうなっていくんでしょう?

(宮崎)
経済的には相当悪くなるでしょう。だからますます左翼が隆盛する土壌が形成されると思う。

(宮台)
日本的なカネがあればモノが帰るというような発想が通用しなくなる時代がきます。安全保障が旗印となってエネルギーや資源、食料すら貿易にはのせないという風な選択をする国がこれからは必ず出てくることになります。ますます経済より政治優位な社会になります。

(宮崎)
というわけで今年は選挙の年でありますから、皆さんきちんと考えて政治家にも高い要求をしていかないと駄目ですよというまとめでいかがでしょうか。