バニラ・エア騒動、当事者・木島英登さん出演 TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』特集「バニラ・エアの車椅子対応から考えるバリアフリーのあり方」要点まとめ

ゲスト:当事者・木島英登さん、静岡県立大学国際関係学部教授・石川准さん

音声はこちら
https://www.tbsradio.jp/160527

木島さんのHPも参照してください。
http://www.kijikiji.com/self/vanilla.htm

木島:階段を這って昇ったことは、僕にとっては屈辱でもなんでもなくて、海外を旅行した時に高速バスに乗るときに這って席に着くことがよくある。


大阪に帰った後、歩けないことを理由に乗れないということがちょっと差別かなと思ったので、大阪府と鹿児島県の障害者差別解消法で出来た窓口に相談して、国土交通省の方にもメールで相談した。担当者の方も、差別事例に当たると思うので事実確認をしますということになりました。5日後ぐらいに、バニラ航空から謝罪がきて、今後は車椅子の方でも利用できるようにすると回答をいただきました。


奄美空港?にはバリアフリーが進んだ素晴らしいリゾートがあるんですが、そこのお客さんにバニラエアで行こうと思ったら、車椅子を断られて、予約入ってたけど来れなかった人が何人もいると聞いた。今後、同じようなことが起きると不幸なので、改善されたらいいなという思いで相談した。


それで、解決をして終わったんですよ。それが、朝日新聞に記事が出て、ヤフーにも載って、階段を這って昇らされた、屈辱的な扱いを受けたみたいな形で報道されて、考えるきっかけにはなったと思いますけど、僕としては別にバニラ航空が悪いとかではなくて、改善されたわけですから、まあ、SNSで色々盛り上がってることに驚いています。


改善されたことが嬉しくて、皆さんも相談すれば解決することがあるかもしれないよ、と事例の一つとして取り上げて欲しいなというのが願いですね。


バニラ・エアへの質問の回答。

Q:どのような対応だったか?

A:チェックインカウンターで、ご自身、もしくは同行のお客様のサポートによりタラップを昇ることが可能であると伺い、手続きをさせて頂きました。しかし、タラップを車椅子ごと持ち上げる形で昇ろうとされたため、転落の危険性を考慮し、止めさせて頂きました。


木島:担ぐのは駄目だと言われてたんですけど、そこは申し訳ありません、見逃してくれたらいいなとしれっとやりました。


・事前確認について

木島:大したお手伝いは頼まないので、基本的にはしないが、同行者に大きい電動車いすの人がいた場合はする時がある。


毎回、事前連絡をしなくてはいけないとなると大変で、気軽に行けたらいいということで、昔から突撃なんて言われることがありますけど、やってまして、15年ぐらい前までJRが2日前に連絡しないと新幹線とか特急に乗れなかったんです。急なことがあった時に事前連絡しないと乗れないと困るじゃないですか。行動制限されずに気楽に動きたいというのもあって、自分で動いていて、それによって大きな問題は起きていなかったという認識です。今回の場合は、事前連絡しなきゃいけないというのは知らなくて後で知りました。そして、事前連絡していたら乗れなかったということなんですね。


補足:http://m.huffpost.com/jp/entry/17315034


メール:いすみ鉄道社長のブログで「障害者が座れる席は航空法上決まっており、安全上事前連絡する必要がある」と指摘されていた。


木島:経験上、決まっていることはないと思う。

補足:https://twitter.com/jishin_dema/status/880814715601014784


荻上問題提起するために意図的に行ったんじゃないかという意見があるんですが


木島:そんなわけないですよ(笑)僕はバニラエアに謝罪を求めたこともありませんし、直接苦情は言ってません。


荻上やり方や言い方が良くないとか批判することをトーンポリシングと言って、そういう発言をネットでよく見かけたりしたんですが、障害者運動の歴史の中では、あえてバスに乗るとか、そういうことをやって問題提起してきたこともあるので、仮に意図的であっても、それはいけないことなのかという議論は別に残る。


木島:事前連絡をしたら100%うまくいくということはなく、機会を損傷したりすることが経験としてある。線引きは難しいんですが、なるべく気軽に利用できるようになるのがより良いこと。


・石川准さんの話

木島さんの対応は冷静であったと思いますし、相談機能がうまく働いて、改善され、関係者のご努力に敬意を表したい。


障害者差別解消法のポイントは大きく2点。障害を理由とした排除、利用制限とかを差別として禁止している。もう一点は、合理的配慮と言って、障害特性に応じて個別に求める配慮を過度な負担でなければ提供しなければならない。


差別解消法の前に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、通称「新バリアフリー法」があり、施設、設備のバリアフリー化を事業者に求めています。それが前提としてあったうえで更に、人的支援等の合理的配慮を利用者の求めに応じて、事業者は提供するということになっている。


今回のケースでは、例えば、車椅子で昇れる別のキャリア、航空会社のチケットを使ってもらえないかという代案もあったかなと。


色んな方法を両者で知恵を絞って合意をしていくということも差別解消法で求めていて、必ずしも白黒つけるための法律というわけではない。どうしたらいいかと一緒に考えるのは当たり前のこと。


社内規定は開示されておらず、それぞれの会社で違ったりして、どうすればいいか判らない。今後は、利用者に関する部分は透明化、標準化をして、ガイドラインとして統一すべき。


事前に伝える義務があるのか、はたまたオプションなのか。利用者が配慮の質を求める場合はいいか、大した配慮を求めていないにも関わらず障害がありますということをわざわざ申告しなければならないのはおかしいのでは。