『ガンダム Gのレコンギスタ』は何を伝えたかったのか

最終回の感想としては、えらく強引な大団円で、一見すれば尺不足による「俺たちの戦いはこれからだ」ENDな感じですが、前向きで希望溢れる、まさに元気のGを象徴するような「脱ガンダム」としてはこれ以上のものはない収め方だったと思います。富野監督はインタビューで、子どもたちに冒険に出て欲しいというようなことを語っており、まさにラストにベルリが世界一周の旅に出るわけですが、冒険というのは物理的な旅に限る必要はなく、一つの価値観に縛られることなく広い視野を持って様々な価値観に触れ、自分の頭で考えようというのが通底していました。

個人的には満足でしたが、子ども向けとしてこの手法は適切だったのか、成功しているのかという問題もあって、特に序盤は掴みが弱く、冒険譚としてはワクワクハラハラする感じが足りず、結末としては「脱ガンダム」はできたけど、手法的にはまだガンダムに縛られているところがあるという感じで、一話からGセルフを出す必要はなかったし、もっとこれはガンダムじゃないだろう!という方向に振り切れてもよかったのではないかと思います。

さて本題。感想ツイートを眺めていると、やはり「よくわからなかった」という感想が目立っていましたが、何を伝えたかったかは、富野監督が詳しく解説するつもりはないと言いながら、サービス精神旺盛だから殆どインタビューで答えているので、それを読むのが一番です(笑)

AnimeJapan2015 富野総監督とキャラクターに聞く67のQ&AのQ47では、140%やりたいことを詰め込めたと語っており、このテンポも計算されたもので、Q46の通り、視聴者に想像し考えてもらいたいという願いが込められており、この分かりにくさはある程度は意図的なものであると思われます。

では、何故そうした構成にしたのかというと、現実に起こっている紛争やテロはもちろん、あらゆる政治問題、殺人事件も含めた社会問題は、簡単に説明できないわからないことだらけであり、そういう意味でのリアリティを反映させているに過ぎないと思います。ある個別の事象を丁寧に描いて訴えるような性質の物語ではないので、視聴者にセリフや展開を単に消費するだけではなく、「想像しなさい!」と言っているわけです。

しかし一方で、富野監督は完結記念イベントで「ドタバタしたもので本当にすみません。わかりにくくて。完璧でない部分もありますがご容赦していただきたい」と語り、いまいち受けなかったことを気にしている面も見せています。記事では、続編の可能性を書いていますが、それはなく、やるとしたら再構成した劇場版でしょう。でも、わからなかったけど面白かったという声も多くあり、そもそも監督は100人中、2、3人が引っかかって行動してくれればいいとも語っているので、もっとドンと構えていいと思います。