文化系トークラジオLife「Life政策審議会」文字起こし ベーシックインカムを巡る議論 Part.1

出演:charlie(鈴木謙介)、斎藤哲也津田大介
ゲスト:飯田泰之(経済学者)、樋口明彦社会学者)

http://www.tbsradio.jp/life/2009/08/2009816lifepart3.html
今月16日深夜にTBSラジオで放送されたLifeの一部文字起こしです。

ベーシックインカムについては、ホリエモンもブログでいいんじゃないかと書いているんですが、それよりもう一歩踏み込んだ議論になっていると思うので、興味がある方は是非ご一読ください。

Part.1は賛成派の飯田泰之さんの話です。



飯田ベーシックインカムというのは無条件で全ての人に一定額の給付をしていこうというもの。僕はベーシックインカムに比較的好意的なんですが、その理由は働きたくないだけで何かやりたいことがある人がいる。それも一つ何かをしているということなんじゃないかなと。それに対して最低限、生活していけるだけのお金をあげていこうというのは無い選択じゃないと僕は思ってるんです。


その中で一つ「お金を貰うと誰も働かなくなるんじゃないか?」というが一番の問題で、そのときにベーシックインカムというのを、貰ったお金だけで完全に生活できるにするのは不可能にしたらいんじゃないかと。だから、「ベーシックインカム+半分くらい働く」という状態でも死にはしないシステムを作っていく必要があると思います。


?:いくらくらいで生活できるかとかは、地方によって物価が違うわけじゃないですか、でも一律なわけですよね。ということは具体的にいくらですか?


飯田:僕は、スタートは月5万だと思ってます。出来れば月8万ぐらいまでいければいいんじゃないかなと。


鈴木:リアルな感じで言うと、大学に入って初めて一人暮らしをした時に家賃を抜いた残りの額だ!(笑)



飯田:月5万円を無条件給付する。または、これは細かい話になるんですが税額から控除していく。つまり税金を払える人は、払う時に−60万で税金を払って、払えない人は60万を貰っていくという負の所得税方式があります。

これが善いのは一つに、今までの生活保護形式だと正しい貧困者というか正しく貧しい人というのを国が決めなければならない。正しく貧しい人は救うけれども、正しくなく貧しい人は救わないというシステムを始めてしまうと、国が「人はこう生きるべし」というのを決めなきゃいけなくて、僕はこれは最低だと思います。


鈴木:貧しい以上は貧しいなりの生き方をしろ、その代わり保障してやるぞみたいなことですね。



飯田:そうです。「何が正しい生活か」というのは政治が決めるべき事ではないと思っているので、その意味でベーシックインカムがいいんじゃないかと。ただ、財源または働かなくなっちゃうんじゃないかという問題があるので、額としてあまりに高いのは財源からして無理ですし、逆にそこに貧困の罠があって、

「お金があるから働かない→働かないからスキルが身に付けれなくて働けない→だから保障を受けなければいけない」

ということになるので、あまり高い額でないほうがいいんじゃないかということで、僕は5万円がいいと思っています。というのは、5万円貰ってバイトで週4日働いて、月15万くらいになるとする。そんなにお金に拘らない人は15万でいかがでしょう?という提案なんです。



?:これは、生活保護は順次廃止していくということ?


飯田:そうですね。もしくは、生活保護については資格テストを厳しくしていって、母子家庭とかの特殊事情がある人だけが貰えるものにする。

先ほど樋口先生から示唆を頂いたんですけど、生活保護というのは皆さんが思ってるよりは取りやすくて、基本的に収入が無ければ貰えるんです。一人で行ったら難しいかもしれないんですが、生活保護の申請を支援している団体、一番有名なのは湯浅誠さんがやっている「もやい」ですけど、そこに相談してみると意外とお上は権威に弱いので結構すんなり取れるんです。